町蕎麦の尊さ。
それは、まだ外食文化が成熟していない頃、近隣生活者の胃袋と舌を楽しませていたことに端を発します。
だからこそ、蕎麦で勝負しつつも、カレーや親子などの丼もの、なんなら中華そばまでを取り揃えます。
そこは、ファミレスでもあり、町会が会議後にハネるための場であり、労働者が腹を満たすための定食屋と様々な役割を果たしてきました。
かつ、店まで足を運べない、時間のない人々には、スーパーカブで岡持ちを携え、お宅へまで食事を運ぶ出前対応。まさにウーバーイーツの始祖。
だが時は経ち。
外食飽和時代に町の蕎麦屋さんの立ち位置とは? 代を継ぐごとに、ビル化せざるを得なかった街場の蕎麦屋の行く先は?
時代の流れから出前を取りやめ、メニューを絞りざる得なくなった店もあります。
しかし、この風情、顧客ファーストな品書き、昼から酒を供する矜持の掛け合わせに満ちる空間は唯一無二。
町蕎麦---。
いま尊ぶべきすべては此処にあります。
0コメント